第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第一歩 「ロールプレイって何だろう?」

遠藤:なぁ井上、「ロールプレイ」って何だろうな。
井上:いきなりヘヴィな問いだな。「各人が物語における自らの役割を果たすこと」ではないか。しかし、このことは今まで何度も言っているような気がするがな。
遠藤:まぁその通りだよ……なぁ。
井上:で、何が気になるんだ。
遠藤:それをどうやってルール化しようか、ってね。もっともルール化できない部分も多いんだけど。
井上:それはそうだろう。小説や映画といったメディアの作品では、最初から物語は決まっている。それにあわせてキャラクターを配置することができる、あるいはキャラクターにあわせて物語を作れるのだから、キャラクターのロールプレイも無駄がなくなるはずだ。もっともいらないキャラクターを大量に抱え込んで破綻をきたす作品も多いがな。何とはいわないが……。
遠藤:アニメ評論は別の機会でやれ。しかし、物語を見つけ出していく遊びであるTRPGの中では、自分の立ち位置というのはプレイヤー自体が自分で見つけるしかないわけだよ。
井上:そのために『天羅万象』ではアーキタイプを絞るとかそういうテクニックが発生したんじゃないか?
遠藤:そうだな。それは『トーキョーN◎VA The Revolution』では、推薦スタイルというプレイテクニックになったし、『ブレイド・オブ・アルカナ』では、初期因縁という形になった。今までは、プレイテクニックだったが今回はルール化するつもりでいる。
井上:ああ、こないだ言っていた[宿命]だな。PCにシナリオの焦点になる部分との係わり合いを[因縁]という形であらかじめ持たせてしまうルールだな。そんなに効いてくるのか?
遠藤:効く効く。恐ろしいぐらい効くぞ。今までのRPGとは比べものにならないぐらい早く立ち位置が決まる。
井上:なんで、そんなに言い切れるんだ?
遠藤:その理由はな……次回に続くッ!!
井上:なにぃッ!?

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第二歩 「物語」

遠藤:じゃ、前回の引きからな。[宿命]が有効なのかはあきらかだ。何しろ、「物語の核心に対しての立ち位置が[因縁]によって提示されてしまう」んだからな。後は、自分のキャラクター性に照らし合わせて少し調整すればいい。
井上:しかしなぁ、ちょっと引っかかるんだよなぁ。物語に対するスタンス、例えば、主人公であるとか狂言回しであるとか、リーダーであることかはそれでいいさ。ただ、NPCとPCの関わりとかはどうなるんだ。人と人との関係性、キャラクター性の相関関係こそがロールプレイを生むのだから、人を対象にした[因縁]でなければロールプレイ用の立ち位置は決定しないんじゃないか?
遠藤:ほう、突っ込んできましたな。たしかに[宿命]となる[因縁]が自分の内面に関係する物などだった場合、他者とのロールプレイには使えない、とお前は思うわけだな。
井上:その[宿命]が常にNPCにつながっているのならともかくそうではないんだろ。
遠藤:さすがにそこまではルール化しないからな。そういうわけにもいくまいよ。
井上:だろ、どーすんだよ。
遠藤:そこで、初見のキャラクターに出会ったときにそのキャラとの立ち位置をすばやく決めてしまうというルールを考えてみた。
井上:そんなルール可能なのか?
遠藤:おいおいアンタの創った『ビーストバインド』の絆ルールがそうじゃん。
井上:そりゃまぁそうだが、アレは天羅には似合わないだろ。『じゅうべぇちゃん』になるぞ。
遠藤:井上よっ。俺を見くびってもらっては困るな。問題なイッ! キーワードは“情動”だッッッッッ!!
井上:じょうどうぅぅそりゃなんだ?
遠藤:解説は次回でだッッッ

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第三歩 「情動とは」

遠藤:井上よ、「ハリネズミのジレンマ」って話、知ってるかな?
井上:ハリネズミの場合、相手に自分の温もりを伝えたくても、身を寄せれば寄せるほど、体中のトゲでお互いを傷つけてしまうって奴だろ。立ち上がって抱き合えばいいのにな。所詮は畜生か。
遠藤:人間にも言えるよな。親しき中にも礼儀あり、踏み込んではいけない場所ってものを誰でも持っている。
井上:自然にそういうことができるようになると、大人になったっていうのさ。MEI
遠藤:まぁ聞けよ。たとえ、仮想とは言えどもRPGのキャラクター間にもこれはいえるとは思わんか。踏み込んで傷つき、傷つけられ、キャラクター達は関係を築くのだ。
井上:……で、どこに前回に言っていた情動が関係するんだ。だいたい、情動ってなんなんだ。
遠藤:解説しよう。情動!! それは、刺激によって引き起こされる一時的で急激な感情の動きッッッ!!
井上:急激な感情? ルールでそんなことができるのか?
遠藤:井上、“昏い炎”
井上:????……くらっ?
遠藤:“昏い炎”だ。この言葉からお前はどんな感情を感じる。
井上:恨みかな、押さえられた怒り? 少なくともポジティブな感情じゃないな。
遠藤:そうだろ、“昏い炎”というふうに描写される感情が遠足の前の小学生の気分というのはちょっと普通ではあるまい。
井上:それはそれで面白いんじゃないか?
遠藤:まぜっかえすな。“昏い炎”という言葉によってお前の中に生まれた感情、それが情動だよ。
井上:んー、でもそれってどうやって決めるんだよ。チャートか?
遠藤:いや、マトリックスだ。邂逅マトリックスと呼ばれるものでこの情動は制御される。しかもこの結果はダイスロールを基点とはするが、それを結果とはしない。
井上:ああ、ROCか?
遠藤:ROCとも異なるんだなぁ。ま、これは体験してもらうほうが良いだろうよ。ロールだけでもないし、恣意的な選択だけでもない。
井上:だが、マトリクスで情動が発生すると仮定しよう。それをどうやって利用するんだ。俺の中に生まれた感情をどうやって知るんだ。
遠藤:安心しろ、井上。「人はわかりあえる」んだよ。
井上:空中を見つめながら、そんなこというなッ

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第四歩 「人はわかりあえる」

遠藤:今まで、われわれは会話やロールプレイを繰り返して情動を喚起し、無意識にキャラ同士の立ち位置を決めていた。これは暗黙の了解で行われたもので、いわゆるプレイテクニックに属することだ。
井上:そうだな、うまく他人を引き出したやつが偉い。というロールプレイの価値観だな。遠藤よ、それが悪いとは言わないよな。
遠藤:もちろん、今までだってそれがすばやくできるヤツはいた、確かに。だが、それでは遅いッ遅すぎるのだッ!! これで世界最速を名乗れるのか、いいや名乗れまイッ。『天羅万象・零』では、PLが自分のキャラクターの立ち位置を決定するまでのプロセスはより短縮されねばならんのだ。
井上:プロセスか、どんなプロセスが発生するんだ。短縮するってことはわかってるんだろ。
遠藤:まず、「出会い」があるだろ、次にそのキャラクターと自分が「どのような関係を築くことができるのか」を知るための会話の応酬があるわけだ。ま、ジャブの撃ちあいみたいなもんだな。
井上:そして、距離を慎重に測ってストレートを打ち込むわけだ。
遠藤:うむ。そうやって関係を決定するわけだ。だが、このジャブを撃ち合うラウンドやフェイントや様子見の時間はもう要らない。
井上:いきなり、ストレートですか、確かに速いけどさ。お互いの距離を計らなくて大丈夫なのか?
遠藤:では、距離を知るために必要な情報とはなんだ。
井上:お互いの関係性、だろ。
遠藤:近いけど、ちょっと違うかな? 必要なのは、GMとPLの間で演じているキャラクターに対する「間違っていない」認識だよ。で、そこに前回説明した情動が関わってくるわけ。
井上:共通認識が必要なのはわかるけど、「間違っていない」って?
遠藤:俺がGMで可愛い女の子を出したとするよな。俺がいくら演技しても、プレイヤーは可愛い女の子とは思ってくれないわけだ。俺が可愛い女の子って言わない限りは。
井上:そりゃあんたは男だから当然だわ。
遠藤:そうだよな。で、そういった「相互の認識の齟齬(そご)」を埋める為に時間と情報が必要になるわけだ。
井上:そんなの無理だよ。我々は誤解の中で生きてるんだから、同じ物を見て同じように感じるはずがないんだ。
遠藤:井上、確かにその通りだ。だけど、「人はわかりあえるんだよ」俺にはその時が見える。
井上:それってニュータイプ思想か。
遠藤:ふっふっふ。まぁ見てなさい。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第五歩 「人はわかりあえる……の続き」

遠藤:今回は前回の続きだ。「人はわかりあえる」とはどういうことかについて語ろう。
井上:どういうことなんだ。
遠藤:“わかりあう”ためにはまず、相手に解ってもらうために自己主張をしなければダメだよな。
井上:そりゃまぁそうだ。言ってくれなきゃわからない。
遠藤:ところが、日本人の美徳感として自分のことを話すのはみっともないと言う考え方がある。
井上:確かに。だから『天羅万象』では、気合ロールをGMが許可するんだよな。
遠藤:そこで、『天羅万象・零』では、カッコ良さを共有するシステムを導入する事にした。
井上:カッコ良さを……共有する!? 可能なのか? いや、確かに可能なはずなんだよな。
遠藤:そうだ。同じ物を良いと思う、そうでなければ人気のある作品なんてものが成立するはずはない。そして、『天羅万象・零』を遊ぼうと言うその時点でカッコ良さを共有する素地はあるんだ。なぜなら、提示する時代劇と言う世界観やキャラクターが本当にダメならプレイしようとは思わないだろ。
井上:で、どうやるんだ。カッコ良さの共有って。
遠藤:今までの『天羅万象』ではどうやっていたと思う。
井上:……GMに合わせていたのか?
遠藤:その通り。気合ロールの許可とは“そのロールプレイはカッコ良い”と支持することだ。 そしてそれを許可するのはGMだ。つまり、何がカッコ良いかを決めるのはGMの役目だったのだ。 それでいいのか? もちろん良くない(反語)。そんなスピードでは、世界最速など名乗れまいっ!!
井上:で、どういうシステムが組み込まれたんだ? 共有するシステムを作ったんだろ?
遠藤:結局さ、気合ロールを許可するのがGMだけだからダメなんだよな。
井上:全員でやるの? うざくねぇ?
遠藤:全員でやってもダメなんよ。
井上:なんで?
遠藤:声のでかい奴が勝つだけじゃん。そいつのカッコ良いに合わせなきゃいけないんじゃダメだろ、そんなの全然速くなってねーもん。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第六歩 「プレイ時間の共有」

遠藤:『天羅万象・零』では様々な場所に“共有”という概念が存在している。
井上:きょうゆう?
遠藤:で、この共有を説明する前にひとつ解説しておきたいことがある。RPGのプレイ時間ってどれくらいか知ってるか、井上。
井上:プレイ時間? 4〜5時間というところではないか。それぐらいでイメージしているんだろ。
遠藤:まぁな。だが、それは拘束時間だ。実質的なプレイ時間で言うと、全体で5時間だと仮定しよう。全部で1時間くらいはキャラメイクその他の時間が掛かるから、残りは4時間。『天羅万象・零』では、1時間ごとに10分ずつ休憩時間を取る事を推奨している。
井上:なるほど、プレイ時間は3時間20分ってところなんだな。
遠藤:ああ、人の話は最後まで聞けい。しかし、これはプレイヤー全体に割り当てられている時間なんだな。プレイヤーが4人だとすると、一人あたりの時間はなんと50分しかないのだ。と、いうわけで5時間の拘束時間のうち4時間10分は、他人のプレイを見ているか休憩しているわけだ。そりゃどんなに優れたゲームでも4時間10分も暇なら寝もしようというものだ。
井上:ファンブルちゃんは責められんというわけか。
遠藤:ま、これは極端な考え方だが、一人のプレイヤーがGMを占有可能な時間と考えるとあながち間違ってはいないハズだ。
井上:……確かに。同時に二人のプレイヤーは扱えないからな。で、どうするんだ。解決法はあるんだろう。……あ、そういうことか。
遠藤:わかったようだな。そこで共有という考え方が生まれてくるのだ。一人一人は50分だが、プレイヤー同士でプレイ時間を共有することで、100分にも150分にもすることができるのだ。
井上:どうやって共有するんだ。
遠藤:ふっふっふ。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第七歩 「カッコ良さの共有」

遠藤:5回、6回と続いてきた共有という概念についてだが、そろそろまとめに入ろうと思う。
井上:まとめって言ってもなぁ。ここ2回のお前は、夢みたいな事を中空を見ながら言ってただけじゃねェか。
遠藤:いやさ、ルールが固まらないうちにゲーム用語の羅列をするわけにもイカンだろ。
井上:まぁそうだが、それにしても、もう少し地に足のついた話はできんのか? 
遠藤:では、今回は実際のルールに関する話をする事にしよう。
井上:じゃあ、5回で言っていた仕掛けはどういうものなんだ。
遠藤:[裁定者]というルールが『天羅万象・零』には搭載される。このルールこそ“カッコ良さ”の共有に関する重要なルールになるのだ。
井上:[裁定者]って何する人なんだ? PLとは違うのか?
遠藤:まぁPLの一人だ。[裁定者]はその[場]におけるロールプレイを評価することになる。
井上:ロールプレイの評価? そんな大事な事をPLにまかせていいのか?
遠藤:それが、共有への第一歩なのさ。
井上:もちろん、[裁定者]は交代するんだよな。
遠藤:うむ。
井上:そーだよなぁ、そーでなきゃ共有にならないよなぁ。
遠藤:そうそう。そして[裁定者]は[気合]を他のPLにあげるという役割を負うわけだ。
井上:それが“カッコ良さの共有”に結びつくわけ……だな。
遠藤:わかったか? 順番に[裁定者]をPLが行なう事によってその卓における“カッコ良さ”が徐々に認められるようになっていく。カッコ良いロールプレイによって[気合]の可否は決定されていく。
井上:そして、最終段階で何が“カッコ良い”のかは卓に共有されているわけだ。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第八歩 「[裁定者]の意味」

遠藤:前回に引き続き、[裁定者]について解説しよう。
井上:[裁定者]は、『天羅万象・零』におけるすべての要になるといっても過言ではないからな。
遠藤:その通りだ。プレイ時間の共有、カッコ良いロールプレイの共有、どちらも[裁定者]が機能する事によってはじめて有効になるのだ。
井上:ん……そうか、どんな[場]であっても[裁定者]とPLそしてGMによって共有されているのだな。
遠藤:その通りだ。例えば、PLとGM合わせて5人でプレイしているとするだろ。[場]に登場しているPLが一人でも[裁定者]、PL、GMの3人、すなわち過半数がその[場]を共有しているのだ。
井上:おおっ……て嘘じゃん(笑)
遠藤:まぁGMは外しても、きっかり半数だ。複数のPLが参加していれば過半数を越えるだろ。[裁定者]のルールによって、プレイ時間は共有化されるんだ。
井上:そして、カッコ良いは、ほめる人間が変わる事で共有化が可能なわけか。
遠藤:そのとおり。
井上:んー、そういえばさ。[裁定者]は、どうやってPCの[因縁]を知るんだ? 周りのPLのキャラクターシートを全部見るわけにはいかないだろうし、憶えるなんてのはムリに決まっている。
遠藤:そうだな。そのために『天羅万象・零』では、セッションログシートというシートを用意している。このシートにはPCの[因縁]が変更されるたびに書き加えられる事になる。これによって、[裁定者]は他のPCの持っている[因縁]を知ることができるのだ。ま、これも共有の一種な。
井上:なるほど、その時点でのPCの内面もセッションログシートを廻すことで共有できるのか。ってちょっとまてよ。ログシートがPLの間だけを回るとすると肝心のGMは、[因縁]の共有化ができないんじゃないか?
遠藤:ふむ、もっともだ。ではその点について次回は語ろうじゃないか。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第九歩 「ギミックとインターフェース」

井上:なー遠藤よー。
遠藤:なんだよう。何か俺に用かよう。
井上:そのしゃべり方はやめれ。それはともかく、『天羅万象・零』では、前作にはなかったシートやらチットやらを使うよなぁ。
遠藤:使うなぁ。で、それが何か疑問なのか?
井上:なんで使うん? 前はなかったっしょ。
遠藤:何人? あんた。方言むちゃくちゃですよ。まぁいいや。ギミックを使うことには意味があるんだ。あれも言ってしまえば共有の一種なんだよ。
井上:また、共有か? じゃあギミックというモノは共有されなければならないのか?
遠藤:共有されないモノもあるな。たとえば、キャラクターシートな。こいつは各PLに対して固有なモノになる。[セッションログシート]はPL全体に対して一つだから共有化されざるを得ないし、[気合チット]は複数だが譲渡され、交換される。これによって共有化が発生する。
井上:なぁ共有化、共有化ってそんなにおいしいのか?
遠藤:んー、ま、うまいっちゃうまいんだが、……ギミックの持つ本当の能力ってヤツを教えてやろう。あれはな……FDやねん。
井上:最近は使わないなぁ。って意味わかんないんだけど。
遠藤:つまり、外部記憶装置な。
井上:記憶を外部に保存するのか? ああ、いわゆる手続き記憶な。
遠藤:その通り。人間はなぜ、泥酔でも帰宅できるのか? それは、帰宅するまでの手続きを体が記憶しているからだ。例えば、記憶に残っていないのに、ちゃんと戸締まりして家を出るとかあるだろう。
井上:なるほどな。つまり、これらのギミックにはプレイの手続きが、記憶されるのだな。
遠藤:そう。より細かく言うのであれば、ゲームプレイによって得た情動がそこに記憶される。例えば、キャラクターシートの隅に書き込まれたメモがプレイの補助記憶や情動を意味しないわけがないだろう。
井上:ふーん、なるほどな。つまり、キャラクターシートには、そいつのプレイが記憶されるって考えるわけだな。それでは他のギミックには何が記憶されるんだ?
遠藤:[セッションログシート]には、実はゲームの進行が記憶される。そして[気合チット]には、格好いいが記憶されるのだ。
井上:えーーーー。ゲーム進行ってルールだし、格好いいは概念じゃないか? それが記憶されるだとぉ。
遠藤:詳しい解説は次週を待て。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十歩 「[因縁]の共有」

遠藤:[セッションログシート]には、プレイングが記憶される事については8歩、9歩で解説したとおりだ。ここまではいいかな。
井上:あんまりよくないぞ。
遠藤:ほぉ、何か問題でもあったか?
井上:っていうか[因縁]の共有について話していたのに、なんでギミックの話になったんだ。
遠藤:……井上、物事には順序と言うものがあるんだ。ギミックについての解説は必要なんだってば。決して前回の文章が手元にないような状態で書いたから話題が断絶したわけではないぞ。
井上:そんないいわけはどーでもいいぞ。
遠藤:本題に戻ろうじゃないか。[セッションログシート]によって各キャラクターの[因縁]が共有されることはわかったが、[セッションログシート]は[裁定者]の間を回るわけだ。GMはどうやって[因縁]を共有するんだろうかだったな。
井上:(第8歩を読んでいる)……うむ。
遠藤:全員の[因縁]を正しく認識してそのロールプレイに的確な評価を与える。『天羅万象・零』のGMは大変だよなぁ。
井上:そうだな。大変だな。良くやれてたな、俺。いや、いまでもうまくやれるとは思うが。
遠藤:さて、『天羅万象』のGMはどうやってそれを行っていたのだろうか。PL全員分の[因縁]を覚えるってのは難しいよなぁ。
井上:まあ、アーキタイプの[因縁]程度なら……あ、そっか。憶えてるんだよな。
遠藤:そう、覚えてるんだな、これが。だから『天羅万象』のプレイテクニックとして使用アーキタイプを限るって方法が有効だったわけさ。
井上:ん、じゃあ『天羅万象・零』ではどうなるんだ。お前は今回はキャラクター作成を可能にするって言ってたよな。どうやってGMはオリジナルキャラクターの[因縁]を認識するんだ?
遠藤:ふっ。俺様に不可能の三文字はない。
井上:四文字だぜ。ふ・か・の・う。
遠藤:……それはともかくっ。そこで、[宿命]というルールが活きて来るんだな。
井上:PLに対してGMが[因縁]を与えるんだよな。
遠藤:この内容は、GMが考えるのだ。つまり、この[因縁]の事はGMは覚えているのだ。
井上:そりゃそうだろうな。で、それがどうした?
遠藤:はっはっは。わからないかね。
井上:わかるかっ。
遠藤:セッションログシートによって[因縁]は卓で共有されてるだろ。だからプレイ中に発生する[因縁]はそんなに意識して覚える必要はないんだよね。プレイ中に各キャラ一つくらいはいやでも覚えるし。
井上:もしかして、そのための[裁定者]システムなのか? GMの[因縁]に関する外部記憶装置としてPLたちを使おうってのか?
遠藤:ご明察。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十一歩 「[零幕]」

遠藤:さて、今回のテーマは、ゲーム進行なのだが、何か質問はあるかな。
井上:まだ出ていないゲームに質問もなにもあるもんか。
遠藤:そりゃ、そうだ。では、今回は[零幕]について語るとしよう。
井上:[零幕]って何か他の[幕]とは違うのか?
遠藤:[零幕]は、セッションの方向性を決める大事な[幕]だ。ここで、各キャラクターの立ち位置とシナリオにどう関係するかが決まる。
井上:[宿命]ひとつでそんなに決まるものなのか?
遠藤:決まらないね。
井上:おいおい。
遠藤:決めてきたらそれはそれでなぁ。
井上:だけど、決めないならなんの意味もないだろ。
遠藤:はっはっは。それが決まるんですよ。そのための[邂逅]ロールなのだ。
井上:あー、第一印象ロールがそんなに大事なのかよぅ。
遠藤:ふっふっふ。[邂逅]ロールを単なる第一印象ロールと考えてもらっては困るな。[邂逅]ロールは、NPCの立場を誤解されないためルールなのだ。前にも言ったな? 俺がどんなにかわいい女の子を演じていても俺が“コレコレでかわいい女の子”って描写しない限り、そうはならない。
井上:RPGを楽しく遊ぶためには、(ブー)だからな。
遠藤:もちろん、この場合は容姿などは問題ではない。問題なのは、なんのためのNPCなのか端的には敵なのか味方なのかを誤解されてはならないことだ。
井上:なるほど、ちょっと謎めいたロールプレイをしただけで、味方のNPCのはずが敵になったりするもんなぁ。前に『X−MEN』のRPGをやった時にさ、エグゼビア教授をやったんだよ。それで、「X−MEN出動だ!!」とか言ってPCを送り出したあとに“ニヤリと口元を歪めます”とか言ってたら裏切り者扱いされた。
遠藤:そんな、エグゼビア教授はいねーよ。
井上:単なる冗談だよー。ま、もっともこんなNPCいたら絶対に敵役だろうけどね。
遠藤:このように演出をしくじると、NPCの立場というのは簡単に誤解されるわけだ。では、それを実現するとしよう。
井上:誤解されることか?
遠藤:ばか。ランダム性を活かしつつ、確実にNPCのことを伝えられるルールだ。
井上:で、[邂逅]はそうなってるわけか。結局ROCなんだろ。
遠藤:うんにゃ。このルールは、ランダムでもROCでもないんだぜ。ま、この先は[邂逅表]を見てもらうしかないな。
井上:勿体ぶるなぁ。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十二歩 「キャラメイク」

谷口:困ったことにだなあ、今週も遠藤卓司が忙しくて制作日誌が届かんのだ。それで我々にお鉢が回ってきたというわけだよ。中村クン。
中村:困ったモノですのー。……でもこうなることを予想して、溜め原を作らせなかった谷口さんも悪いんじゃないですか?
谷口:………………とにかくだ。零システムまわりの大きなネタは遠藤クンに任せるとして、我々はキャラメイクについて説明してみよう。
中村:アーキタイプ選ぶだけで終わりじゃないんですか?
谷口:そんなことはない。零のアーキタイプは前作のそれとはちょっと違うのだ。今回はキャラクターが持つひとつの要素、すなわち物語を構成するコンセプトそのものということになっている。例えば……前作における“ヨロイ狩り”というアーキタイプは、ヨロイを失った“元ヨロイ乗り”であり、雇われて戦う“傭兵”であり、ヨロイを倒すための武器を持った“ヨロイ狩り”という三つの要素で構成されていた。つまり零で旧作のヨロイ狩りのようなキャラクターを作ろうとするなら、“元ヨロイ乗り”“傭兵”“ヨロイ狩り”というアーキタイプを組み合わせることになるということだ。
中村:ということは“元ヨロイ乗り”“傭兵”に“サムライ”を重ねて、ヨロイを憎むサムライなんかも作ってよいのですか?
谷口:もちろんだ。旧作の時に、作るはしからみんなに潰されたオレの傀儡アーキタイプたちも、零ではいくらでも作れてしまう。
中村:そんなことはどーでもよいのですよ。で、因縁は? PLが作るんだったらGMが把握できなくなってしまいます。
谷口:先走りはよくないぞ。もちろんアーキタイプそれぞれにひとつの因縁が与えられている。
中村:そ、それでは3つも4つも因縁を抱え込むことになってしまうではないですか。
谷口:ふっふっふ。
中村:遠藤さんみたいに最後に笑うのはやめましょうよ。
谷口:オレは遠藤クンとは違うぞ。まあ、零システムさえあればそれでもプレイは可能かもしれないが――
中村:そもそもPLがキャラクターを把握できません。
谷口:話は最後まで聞け。確かにあまりに多くの因縁を抱えているのは意味がない。表現することができなくなるからな。表現できない因縁を持っていることは無意味だ。だから、選択したアーキタイプによって与えられた因縁の中から、PLが必要なものを選択するというスタイルになっているのだ。
中村:ふたつぐらい?
谷口:ふたつぐらいだ。とにかく、前作のアーキタイプが持っていたメッセージ性や物語の原型という特性を損なうことなく、PLのコンセプト通りに自由にキャラクターが作れるようになるのだ。しかも、リストを眺めているだけでキャラクターが作りたくなってしまう。オレなんかもうたくさん作ってるぞ。
中村:谷口さんのことだから、どこかに穴があるような気がするんだけどなあ。
谷口:今回に限っては、ない。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十三歩 「巫女と機人」

谷口:……今週もだ。
中村:今週もですか、困ったモノですの。
谷口:アレだ。悪い癖をつけさせてはいけないというヤツだな。まあ、気を取り直して、今週は零で追加されたファクターについて――巫女と機人について語ろうじゃないか。
中村:巫女というと……神宮家ですな。零では、なんと神術持ちのPCがプレイできる!
谷口:初級だけどな。つまり巫女(御師)は最下級の神官だ。各地を回ってお札を売ったり、儀式をやったりしている。
中村:谷口さん……つまんなさそうです。
谷口:もちろん、それは表の顔。本当の顔は各地の情報を集め、明鏡ネットワークを介して報告する神宮家のエージェントなのだよ。
中村:神宮家の犬ですかあ。
谷口:3つ以上のアーキタイプを組み合わせていれば、巫女が持っている因縁(神宮家への忠誠)を削ることができるから、裏切り巫女もプレイ可能。
中村:フォーマーカンパニーマンみたいなものですの。
谷口:……次は機人。
中村:巫女はもう終わりですか?
谷口:バカ、情報は小出しにするのが基本なんだよ。
中村:やっぱり遠藤さんと同じじゃないですか。
谷口:…………失った肉体部位を補ったり、置き換えることで手に入れる機械の体、カラクリだが、これは能力値を代価に、限定的な強さを手に入れることを意味する。例えば能力値1点と引き替えに、〈射撃戦闘〉のサイコロが2個増えるとかだな。
中村:旧版の追加アーキタイプでいましたよね、機人。あれが普及してしまったのですか?
谷口:北朝神宮家の技術公開によってな。サムライになることができない弱き者たちが手にすることのできる新しい力なのだよ。まあ、戦で負傷するといつの間にか機人になっていたりもするが。「こりゃ切らないと死ぬねえ」とか軍医が笑う。
中村:もちろん切る必要はないと。よくない医者ですなあ。
谷口:あとはカラクリに追加できるオプションやら武器やらだが、さすがに全部を説明していては日が暮れる。
中村:さわりぐらいいいじゃないですか。
谷口:えーと。スコープをうにーんと延ばして遠くを見ることができる、とか。
中村:……
谷口:足に仕込んだ火薬を爆発させると20m跳躍してしまう、とか。
中村:……なんかバカなモノからチョイスしてませんか。てゆーか誰が考えたんですか、そんなの。
谷口:はっはっは。
中村:もちろん、まともなオプションもあるのでしょうな。
谷口:はっはっは。
中村:笑ってないで何とか言ってくださいよう。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十四歩 「機面鏡」

谷口:明鏡を知っているか。
中村:そりゃ知ってますけど。ヨロイや金剛機の制御に使われる、神宮家製の機器ですな。ところで……今回は遠藤さんへの恨み言はナシですか?
谷口:説明ゼリフありがとう。……毎回言うのもどうかと思わないか?
中村:あなた誰ですか?
谷口:谷口だ。
中村:ウソだ。谷口さんがうらみつらみを言わないなんてッ。そんなことがあるはずがない(笑)
谷口:えーかげんにさらせッ。とにかく、今回は明鏡に関する話なんだよ。
中村:はあ。前と何かルールが変わったのですか?
谷口:全然。
中村:じゃあ何も書くことないじゃないですか。
谷口:そんなことはない。何しろ零では明鏡は一種類ではないのだ。北朝神宮家が明鏡の製法を公開したことにより、神宮家以外でも、機面鏡と呼ばれるまがいものの明鏡を作れるようになってしまった。量産型ヨロイとか量産型金剛機などということを聞いて「どーなってんだ?」と思っていた人も多いだろう。その理由がこれだ。
中村:そんな無茶苦茶な。
谷口:といっても、まったく同じものを作れるようになったわけじゃない。さきほどはまがいものと表現したが、製法を知っていても技術が追いつかず、性能の低下は否めない。よって神宮家以外の手による明鏡とは明らかに違うモノだ。
中村:具体的にはどう違うので?
谷口:明鏡ができることはほとんどできるのだが、業を蓄積することがないため、明鏡修正を得ることができない。つまり、まっさらの明鏡程度の性能しかないわけだ。
中村:弱ッ。
谷口:しかし、短所を逆手に取れば、量産型の機面ヨロイには業が浅い子供でなくとも接合できるようになる。機面金剛機は明鏡修正を得られなくとも、高速機動は健在だ。そして、真に恐るべきはその数だろう。機人と同じく天羅の戦の様相を変えた、新たな一大勢力と言える。
中村:オヤジのヨロイ乗りですかあ? 子供に負けるんじゃなあ。
谷口:機体の性能差は腕と経験でカバーしろ。
中村:経験って……明らかに今までのヨロイ乗りの方が経験積んでるじゃないですか。
谷口:はっはっは。また、比較的容易に手に入るようになったことから、ヨロイや金剛機以外でも利用法が模索されている。例えば、陰陽術だな。
中村:(ごまかしやがったな)……ほほう、それはどのように。
谷口:まあ、それは次回の「陰陽道」で。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十五歩 「陰陽術」

谷口:今回は次回の予告通り、陰陽道について。
中村:それについては僕も言いたいことがあるんですけど。言ってもいいですか? てゆーか勝手に言いますけど、怒らないでくださいよ?
谷口:ほう、言ってみろ。
中村:えーと、陰陽術って芸術ですよね? のわりに旧作のルールは、おもうがままに能力を組み合わせることができて、世界観に即していなかったのではないかと思うのですよ。ルールをマジメに使うと、美しくない式を組む者になってしまう。
谷口:まあ、そのとおりだな。
中村:……ヘンだな。文句を付けられても怒らない。
谷口:毎回のことだが……君は何か誤解しているね? ともかく、零の陰陽術ルールは、君が言うような問題点をクリアするために少しばかりマイナーチェンジが行われている。一言でいうと“ゆらぎ”が加えられているわけだ。
中村:ゆらぎ、ですか?
谷口:陰陽師がどれだけの式を組めるかは、能力値と技量から求められる[式作成ポイント]で現されている。例えば【知力】が9で〈陰陽術〉が上級なら27ポイントになるな。この作成ポイントをギリギリまで使うような式を打つ場合には、チャートを使って能力を決めなければならなくなった。
中村:うへえ。そ、それでは陰陽師が弱くなってしまうではないですか。
谷口:もちろん、全部が全部チャートではない。技量から考えて楽に打てる式ならば、以前と同じく組むことができる。具体的にはひとつ下の技能段階分の[式作成ポイント]までの式ならば、だな。まあ、このあたりはゲーム性とのかねあいもある。
中村:それでも弱いは弱いですよ、ブツブツ。
谷口:逆にチャートの結果によっては、自分の限界を越えた式も組めるのだぞ?
中村:おお、それはいい。ならいいや(笑)
谷口:で、前回話した機面鏡の利用なのだが……なんと機面鏡を使って式を組むと、このチャートがROCになる。
中村:選べるのですか? それはさらにいい。強いではないですか。
谷口:でだ、昔気質の陰陽師たちは、この新しい技術を受け入れがたいようで、君のように考える陰陽師を“式打ち”と呼んで蔑んでいる。まあ、彼らにも変化は訪れているということだな。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十六歩 「兵法」

谷口:旧作には戦闘オプションがあったよな。
中村:ああ、ありましたな。絶対当たる必殺の一撃とか、見切りとか。〈法術〉と必殺の一撃を組み合わせると無茶苦茶なことになりましたし。
谷口:オマエな〜、そんなヒドイことしてんじゃないよ?
中村:谷口さんだってひたすら見切りを繰り返したりしてたじゃないですか。
谷口:まあ、それはそれとしてだな。零では戦闘オプションはなくなった。
中村:なんですとー? あなたはいつもそうだ。式に……モガモガモガッ!
谷口:まあまあ。
中村:いきなり口をふさがないでくださいよ。とにかく、どーしてそう減点法でしか物事を考えられないのですか?
谷口:そういうな。代わりはちゃんと用意してあるのだからよ。
中村:ほほう。聞きましょう。
谷口:零には〈兵法〉という技能がある。この技能を取ると、剣術などの兵法の一流派を身につけることができるのだ。
中村:でも、天羅には剣術流派とかは存在しないって書いてありませんでしたか?
谷口:実戦的じゃないヤツはな。道場剣法が存在しないのは間違いない。
中村:前置きはそろそろよいでしょう。結局、具体的に何ができるのかが問題なのです。
谷口:まあ、具体的にルールを話しても余り意味がないだろう。旧作の戦闘オプションから派生した流派の他、零にはなんと【共感】で命中判定を行う流派も存在している。
中村:はあ。
谷口:あとは金剛機の非人間的な機構を利用した金剛機専用の兵法、金剛羅漢拳やら、オニ専用の兵法、〈射撃戦闘〉用の兵法とかだな。
中村:一通りはあるのですなあ。
谷口:発売後にはこのページでも「君の考えた兵法募集!」とかやる予定だ。
中村:あ、思いつきました。蟲を使った兵法なんかどうでしょう?
谷口:蟲なあ。〈蠱術〉のデータも実は……
中村:実は?
谷口:ま、それはそのうち。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十七歩 「戦」

谷口:今回は戦に関する話だ。
中村:戦? 集団戦闘ルールでも入ったのですか?
谷口:うむ、入った。
中村:たにぐちさーん? 天羅は個人個人の[因縁]をあーだこーだするゲームじゃないですか。戦争のルールがあっても、そうそう役に立つ機会があるとは思えませんよ?
谷口:そうでもない。結局、天羅のPCたちは戦闘系が大半を占めているのだから、戦というのは彼らが活躍できる最大の舞台であるはずなのだ。単純に、戦が関わると、話が大きすぎて[因縁]にからめることが難しくなっていただけなのだよ。
中村:だからって、どっちが勝つか決めても寄与するとは思えませんが。
谷口:そりゃそうだ。普通、戦でどちらが勝ち、どちらが負けるかなどというのはシナリオの都合で決まるものだからな。もちろん、どちらでもよい場合もある。
中村:だったらもっと無意味じゃないですか。
谷口:ルールがある意味は、別に結果を求めることだけではないぞ。戦闘ルールは勝者と敗者を色分けすればよいのか? その過程には何の意味もないとでも言うのか?
中村:ええと。
谷口:マスターが「あーだこーだで君の軍は負けました」というのと、ルールの手順を追って自分の軍がどんどん劣勢になっていく様を見るのは違うと思わないか? また、戦争のさなかで語られる物語があるのならば、そのシーンを切り取ってPCに与える役割もある。
中村:敵味方に分かれた友と戦場で出会ったりですか?
谷口:もちろん、そのとおりの結果が与えられるわけではないが、例えば指揮官なら指揮官の、軍師なら軍師の、兵士なら兵士の役割が用意されている。それぞれのシーンをいかに演出するかは、まあGM次第ということになるな。
中村:軍師……もいるのですか?
谷口:前回は陰陽師が全部やらされていたからな。芸術家に戦争させちゃいかんよ。美しいからって二正面作戦やったり、ついうっかり北に向かって冬将軍にやられちゃったりするよ(笑)
中村:ははあ。ところで、天羅では「ひとりのサムライと五千の軍隊なら、サムライが勝つ」って世界でしたよね? しっかりそうなるようなルールになっているのですか?
谷口:ああ、それ? ちょーっと違うんだなあ。
中村:なんですとー? まさ、まさ、まさかできないとか抜かすのではないでしょうな?
谷口:落ち着けよ。ちゃんとできるから。ただ、ルールがある以上、そこに難しさという概念が加わるのは当然のことだ。そして、零ではむしろこっちの新しい例えの方を推奨する。「七人のサムライと十万の軍隊ならどっちが勝つか?」だ。
中村:一人あたりの数は増えておりますな。で、どちらが勝つので?
谷口:もちろん七人のサムライだ。うち一人が軍師だったりしたら、完璧だな。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・第十八歩 「蠱術」

谷口:今回は「兵法」で言っていた蟲の話。
中村:蟲ですか? 蟲はすばらしいのですよ。あのもぞもぞしてむにゅむにゅした感じがたまりません。醜い外見に優しいココロ。これですよ。
谷口:あー、キミの蟲に対する偏った愛はさておいてだな。
中村:さておかないでくださいよ。なんなら一晩中だって語りますよ。
井上:おかしい、間違っている。
中村:うわあ、井上サン。いきなり乱入しないでくださいよ。
井上:なんであんなもぞもぞしてむにゅむにゅしたものに愛を感じることができるのだ?
中村:人の話を聞かないなあ。それはともかく、間違っているのは井上サンの方です。
谷口:ちなみに、オレもダメだ。
中村:谷口サンの意見は求めていません。
谷口:ぬう。とにかくルールの話だ。ホラホラ、井上も今日は関係ないから帰れ。……〈蠱術〉関係のルールでは、基本的には細かいデータの見直しと新種の蟲の追加が行われている。
中村:変わったところだと?
谷口:強くなった。例えば牙爪蟲だな。これが兵法との兼ね合いなのだが、牙爪蟲を使った戦闘に、〈蠱術〉の技能段階に応じていろいろおもしろいことができるようになっている。打ち出したりな(笑)
中村:ふむ。
谷口:で、判定は【体力】で行う。
中村:それじゃ鋼化結線蟲が役に立たないじゃないですか。
谷口:だから、新種の蟲が追加されているんだよ。【体力】を上昇させる寄筋蟲とかな。【感覚】を上昇させる心眼蟲は前からあったな。〈兵法〉によっては、命中判定に使用する能力値が変わるので、この辺の組み合わせはおもしろいかもしれない。
中村:サムライの独壇場ではなくなりますな。ぐふふ。
谷口:あとは溶蟲、緋毒蟲、屍繰蟲などの新種蟲。
中村:どんなものなので?
谷口:そこら辺は名前から想像しつつ、全国にけっこういるかもしれない蟲ファンの方々にはたのしみに発売日を待ってもらおうじゃないか。

第一歩 第二歩 第三歩 第四歩 第五歩 第六歩 第七歩 第八歩 第九歩 第十歩 第十一歩 第十二歩 第十三歩 第十四歩 第十五歩 第十六歩 第十七歩 第十八歩 第十九歩
世界最速への道・最後の一歩 「ありがとう」

遠藤:長かった制作日誌の連載も、これで最後か。
谷口:そーだよなあ。最初は遠藤君が書いていたのに、途中からずっとオレが書いてるんだもんなあ。なんで書かなくなったんですかぁ?
遠藤:そりゃあ、アレだよ。谷口君という優秀なサブデザイナーがいるから。
谷口:ヘンなこと言うな。オレが自分で書いたみたいじゃないか(笑) イジメか? イジメだろ、コラ。
遠藤:カーッカッカッカ(悪魔超人笑い) まあ実際ね、いいRPGに仕上がったと思うのよ、『天羅万象・零』に関しては。より熱く激しい物語が語られるようになっているし、世界はより危険になっているし。
谷口:明日にでも滅びそうな世界だしな。ともあれ、無事に出てよかったよかった。
遠藤:これも皆様もあついご支援だと思うと涙が出るよ。
谷口:まったくだ。
遠藤:3年前のRPGが現在でも遊ばれているという事実が、零制作の原動力だったわけですよ。ここのボードに書き込んでくれている皆様のおかげ。零は、皆様に対する正統な報酬みたいなものです。
谷口:ありがたや〜、ありがたや〜。でもまあ、お金はちゃんと払ってもらいますけどね(笑) 何にせよこれで一段落……とおもいきや、もう次が(笑)
遠藤:そう。というわけでこの制作日誌も、谷口君の「テラ・ザ・ガンスリンガー」制作日誌に……
谷口:まてやーッ。まだ4ヶ月もあるじゃないか。全十六回も書くのはイヤだ。リプレイだってあるんだぜ?
遠藤:何言ってンだ。この制作日誌もすでに全十九回じゃねえか。
谷口:ぐぐぐぐぐ。
遠藤:まあ、そのへんの情報はおいおい発表されるでしょう。早いところではJGCとか。今日からだから是非とも参加。
谷口:昼のみの参加でもOKなヤツとして、明日の26日には零のセッション・イベントが用意されています。朝9時にホテル浦島に集合(笑)
遠藤:これからも『天羅万象・零』をよろしくね。
谷口:次のテラも期待して待っててくれ。
遠藤:ではまた〜

文中の井上は井上純一、遠藤は遠藤卓司、谷口は谷口和也、中村は中村知博を指します。




Return TopPage